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胴体のモデリング(エディットモード)(その4)

  

対称の物体はミラーでモデリング

前の記事の『胴体のモデリング(エディットモード)(その3)』からの続きです。 引き続き、エディットモードでのモデリングを行います。

この記事では、犬の胴体にミラーの機能を設定します。 ミラーとは鏡像の機能であり、メッシュを鏡に反射させたように補う機能です。 半分だけモデリングして残りはミラーの反射で補おう、ということです。

犬の胴体は左右対称ですので、メッシュを上面図から見て右半分だけ残して左半分は削除します。 消してしまう左半分はミラーの機能で右半分を反射させて表示します。

上面図から見て左半分を削除

では、不要となる左半分を削除します。 まずは選択ツールに切り替えましょう。

1. ツールバーの選択ツールを選択
1. ツールバーの選択ツールを選択

上図のように3D Viewportの左端にあるツールバーから選択ツールを選択します(またはキーボードのSHIFT + スペースキー -> Bを押します)。

続いて、3D Viewportのヘッダの透過ボタンがオンになっていることを確認します。 隠れている部分も選択できるようにするためです。 なお、本ウェブサイトの記事に沿って進めていれば、すでにオンになっているはずです

2. 透過ボタンがオンになっていること
2. 透過ボタンがオンになっていること

上図のように3D Viewportのヘッダの透過ボタンがオンになっていること確認し、なっていなければオンにします

選択モードは、頂点選択モードでも辺選択モードでも面選択モードでも構いませんが、今回は頂点選択モードで選択しましょう

3. 頂点選択モードに切り替える
3. 頂点選択モードに切り替える

上図のように頂点選択モードに切り替えます。

続いて、視点を上面図の位置へ移動します。 キーボードのテンキーの7を押しましょう。

4. 視点を上面図に移動
4. 視点を上面図に移動

上図のように視点を上面図の位置へ移動します。

では、左半分を選択しましょう。 メッシュの左半分をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でドラッグして囲みます

5. メッシュの左半分を対角線で結ぶようにドラッグ
5. メッシュの左半分を対角線で結ぶようにドラッグ

上図のようにメッシュの左半分を対角線で結ぶようにドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。

6. 左半分が選択される
6. 左半分が選択される

上図のように左半分が選択されます。 では、選択中の左半分を削除しましょう。 キーボードのX(またはDELETEキー)を押します。

7. Facesを実行
7. Facesを実行

上図のようにDeleteメニューが表示されますので、"Faces"を実行します

  
"Vertices"では頂点に加えてその頂点が構成している辺と面も、"Edges"では辺に加えてその辺が構成している面も削除されます。
8. 左半分が削除される
8. 左半分が削除される

上図のように左半分の面が削除されます。 不要な面が削除されましたので、次はミラーの設定を行います。

モディファイアについて

ちょっと脱線しますが、ここでモディファイアと呼ばれる機能について説明しておきます。 モディファイアとは装飾または修飾を意味する言葉で、Blenderではメッシュの装飾のための機能を表します。

これから設定するミラーは、具体的にはモディファイアと呼ばれる機能を使って実現しますなお、モディファイアには様々な種類があり、ミラーはその中の1つです

モディファイアは見た目にだけ影響する

モディファイアの特徴は、メッシュが持つ形状の情報を一切変更せずに、見た目にだけ反映される装飾が行われることです。 しかも、メッシュの形状を変更した場合にモディファイアを適用しなおす必要はなく、自動的に装飾が行われます。

例えば、ミラーのモディファイアで右半分を左半分にミラー設定した場合、メッシュの形状の修正は右半分だけでよく、左半分は常に右半分のミラーとなります。 つまり、右半分の形状を変更すると自動的に左半分も変化します

  
正確にいえば、左半分は編集できる形状の情報を持っていないので左半分はどうやっても形状の操作を行えません。

モディファイアはメッシュオブジェクトに結びつけられる

モディファイアはメッシュオブジェクトに結びつけられます。 そのため、モディファイアを作成する際にはメッシュを選択しておく必要があります。 モディファイアを変更する場合や削除する場合も、同じくメッシュを選択しておかなければなりません。

つまり、モディファイアを作成するにも変更するにも削除するにも事前にメッシュを選択しなければならない、ということです。

  

モディファイアの追加

では、ミラーの設定に戻りましょう。 選択中のメッシュにミラーのモディファイアを追加します。

ミラーのモディファイアを追加

モディファイアの追加は、画面右下にあるエディタのPropertiesで操作を行います

なお、Propertiesには多くの項目があり、それらはタブによって分類されています。 目的に応じてタブを切り替えて、必要な項目群を表示させる必要があります

では、モディファイアを操作するためのタブに切り替えましょう。

1. Modifier Propertiesタブをクリック
1. Modifier Propertiesタブをクリック

上図のようにPropertiesのModifier Propertiesタブをクリックします

2. モディファイア関連の項目群が表示される
2. モディファイア関連の項目群が表示される

上図のようにモディファイア関連の項目群が表示されます。 項目群と書きましたが、初期状態では "Add Modifier" という選択リストがあるだけです。

では、実際にミラーのモディファイアを追加しましょう。 "Add Modifier" と書かれた選択リストをクリックします

3. モディファイアの一覧から"Mirror"を選択する
3. モディファイアの一覧から"Mirror"を選択する

上図のようにモディファイアの一覧が表示されますので、一覧から "Generate" -> "Mirror" を選択します

  
Blender 4.X系からは、モディファイアは階層形式のメニューから選択するように変更されています。
4. 左半分が出現する
4. 左半分が出現する

上図のように左半分が出現します。 これは、ミラーのモディファイアが追加されたことにより、右半分が反射されて左半分が作られたためです。 なお、反射面はオブジェクト中心(オブジェクト中心)を通ります。

  
ミラーのモディファイアは、初期状態ではX軸方向に反射します。 つまり、Y軸(緑色の線)に鏡が置かれているように振る舞います。

ではここで、Propertiesに注目してください

5. 表示項目が増えている
5. 表示項目が増えている

上図のようにモディファイアが追加されたことによって、表示項目が増えています。

Propertiesのモディファイア関連の項目について

ここでモディファイア関連の項目について解説しておきます。

Propertiesのモディファイア関連の項目
Propertiesのモディファイア関連の項目

上図のようにPropertiesにはモディファイア関連の様々な情報やボタンが表示されています。

  
上図は見やすいように幅を広げています。

以下で、これらの項目について重要なものに注目して解説します。


(1)のアイコンはモディファイアの種類を表しています。 今回の例では、ミラーのモディファイアのアイコンが表示されています。


(2)はモディファイアの名称です。 初期状態ではモディファイアの種類を表す名称がセットされます(今回はミラーのモディファイアを追加したため "Mirror" という名称になっています)。 名称の部分をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックすることで名称を変更することができます


(3)の4つのボタンはモディファイアの有効/無効を切り替えるためのボタンです。 それぞれのボタンの効果は以下の通りです。

項目 説明
[Adjust edit cage to modifier result]ボタン 3D Vieportw上でのエディットモードでの編集枠の表示でモディファイアを有効にするかどうか
[Display modifier in Edit mode]ボタン 3D Viewport上でのエディットモードでの表示でモディファイアを有効にするかどうか
[Display modifier in viewport]ボタン 3D Viewport上での表示でモディファイアを有効にするかどうか
[Use modifier during render]ボタン レンダリング時にモディファイアを有効にするかどうか

Propertiesのモディファイア関連の項目(再掲載)
Propertiesのモディファイア関連の項目(再掲載)

(4)のボタン(モディファイアサブメニュー表示ボタン)はモディファイアのサブメニューを表示するためのボタンです。 モディファイアのサブメニューには利用頻度の低いメニュー項目が含まれています。 サブメニューのメニュー項目は以下です。

項目 説明
Apply 見た目にのみ反映されているモディファイアの装飾を形状の情報に反映させる
※このボタンを押すとメッシュの形状の情報そのものが変更されモディファイアは削除される
※今回の例では、ミラーの左半分を削除する直前の状態と同じになってしまう
Duplicate モディファイアを複製する
※同じオブジェクト内で複製される
Copy to Selected モディファイアを複製する
※選択中の他のオブジェクトに複製される
※複数のオブジェクトを選択中にしか使えない
Move to First モディファイアを最上位に移動する
※モディファイアは1つのオブジェクトに複数設定できる
※最上位から順に適用されるため順序は重要となる
Move to Last モディファイアを最下位に移動する

(5)のボタン(モディファイア削除ボタン)はモディファイアを削除するためのボタンです


Propertiesのモディファイア関連の項目(再掲載)
Propertiesのモディファイア関連の項目(再掲載)

(6)のAxisのX / Y / Zでは、ミラーの反射方向を設定します。 なお、これらは排他的ではないため3つ同時にオンにすることもできます


(7)のClippingチェックボックスは、反射面の近くにある頂点が反射面から離れないようにクリッピングするためのオプションです。 このチェックボックスがオンになっていると、エディットモードでの移動・拡大縮小・回転などの操作を行っても反射面にある頂点は移動しません。 なお、クリッピングされるのは反射面から一定の距離内にある頂点です。 距離は(8)のMerge Distanceで指定します。


Propertiesのモディファイア関連の項目(再掲載)
Propertiesのモディファイア関連の項目(再掲載)

(8)のMerge Distanceでクリッピングが有効になる距離を指定します。 指定された数値がしきい値となり、反射面からの距離がしきい値より近い頂点がクリッピング対象になります。

  
(8)のMerge Distanceのような数値欄は、マウスカーソルを乗せると左右に増減ボタンが表示されます。 このボタンを押すことで、数値を増減することができます。 なお、全ての数値欄に増減ボタンが表示されるわけではありません。
  
数値の部分をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックすることでも数値を入力することができます。 マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックすると、入力状態に切り替わりますのでキーボードから直接数値を入力し、Enterキーで確定します。
  
数値欄をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)で左右にドラッグすることでも、数値を増減することができます。

(9)の "> Data" という表記は、一部の情報が折りたたまれて隠れていることを表しています。 クリックすることで、隠れている情報を表示させることができます。

  

まとめ

エディットモードでもキーボードのX(またはDELETEキー)で選択中の部位を削除することができます。 ただし、オブジェクトモードの場合とは異なり、頂点で削除するか / 辺で削除するか / 面で削除するかを選ぶ必要があります。

操作/コマンド 説明
X
(または)
DELETE
選択中の部位を削除する

モディファイアとは装飾または修飾を意味する言葉で、Blenderではメッシュの装飾のための機能を表します。 モディファイアの特徴は、メッシュが持つ形状の情報を一切変更せずに、見た目にだけ反映される装飾が行われることです。 しかも、メッシュの形状を変更した場合にモディファイアを適用しなおす必要はなく、自動的に装飾が行われます。

モディファイアはメッシュに結びつけられるため、モディファイアを作成するにも変更するにも削除するにも、まずはメッシュを選択する必要があります。

 
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