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3D Viewport上に下絵を表示させる

  

モデリングやテクスチャペイントのために下絵を読み込む

慣れるまでは、下絵を用意したほうが効率よくモデリング作業が行えます。 3D Viewport上に下絵を表示し、その形に沿うようにモデリングするという方法です

下絵
下絵

また、Blenderでテクスチャペイントを行うなら、テクスチャペイントのために下絵を表示するという使い方もあります。 同じく3D Viewport上に下絵を表示し、それに合わせて3次元ペイントを行います

下絵の準備

モデリングの対象が身近なものなら、自分で写真を撮って下絵にします。 身近ではないものなら、ネット上で営利目的での利用が許可されている写真や画像を探しましょう

できれば三面図を用意する

用意する下絵は、正面図、側面図、上面図の3枚が揃っているのが理想です。 最低でも、正面図と側面図だけは用意しましょう。

自分で写真を撮るなら、正面図、側面図、上面図の3枚を揃えましょう。 ネット上で探す場合も、できるだけ3枚揃っているものを探します。

下絵の大きさと中心位置を揃える

下絵の大きさは揃えておきましょう。 自分で写真を撮るなら、同じ距離(できるだけ離れて)から同じ焦点距離で撮影します。 ネットから入手した場合で、正面図・側面図・上面図で大きさが異なる場合は、GIMPなどの画像処理ソフトウェアを使って大きさを揃えておきましょう

また、下絵の中心位置もできるだけ揃えましょう。 対象物が左右対称であれば、中心をしっかり揃えておきます。

  

下絵を使ってみよう

では、実際に3D Viewport上に下絵を表示させてみましょう。 まずは、下絵を用意します。 正面図・側面図・上面図の3枚を準備してください

犬の正面図・側面図・上面図の3枚の画像をこちらで用意しました。 準備するのが面倒であれば、以下のファイルをダウンロードしてください。

  1. backgroundimages.zip

ダウンロードした "backgroundimages.zip" に含まれているファイルの内容は以下の通りです。

ファイル名 内容
backgroundimage-front.jpg 正面図
backgroundimage-side.jpg 側面図
backgroundimage-top.jpg 上面図
1. 犬の下絵
1. 犬の下絵

上図のように正面図・側面図・上面図の3枚を準備します。 PNG形式でもJPEG形式でも構いませんが、今回はJPEG形式を例に解説しています。


新規ファイルを開いた状態から説明を始めますので、トップバーのプルダウンメニューの"File" -> "New" -> "General" を実行してください。

では、正面図の下絵から表示させましょう。 用意した正面図の画像を、下絵としてBlenderに登録します。 視点を正面図の位置に移動するため、キーボードのテンキーの1を押します

2. 視点が正面図の位置へ移動する
2. 視点が正面図の位置へ移動する

上図のように視点が正面図の位置へ移動します。 このように、正面図を登録する場合は、視点を正面図の位置へ移動させる必要があります

では、正面図の画像をBlenderに下絵として登録します。 キーボードのSHIFT+Aを押してください

3. Image -> Backgroundを実行
3. Image -> Backgroundを実行

上図のように"Add"というタイトルのメニューが表示されますので、"Image" -> "Background"を実行します

4. Blender File Viewウィンドウ
4. Blender File Viewウィンドウ

上図のようにBlender File Viewウィンドウが開きますので、用意した正面図の画像を選択して、[Load Background Image]ボタンを押します。 ボタンを押すと、Blender File Viewウィンドウは自動的に閉じます。

5. 3Dカーソルの位置に画像が追加される
5. 3Dカーソルの位置に画像が追加される

上図のように3Dカーソルの位置に画像が追加され、かつ、選択された状態になります。

追加された画像はエンプティのオブジェクトです。 エンプティは実体のないオブジェクトであり、3D Viewport上には表示されますがレンダリング結果には描かれません

エンプティにはいくつもの種類があり、軸のエンプティ・矢印のエンプティ・円のエンプティ・立方体のエンプティなどがあります。 今回のイメージのエンプティは、その中の1種類です。

  
Blender 2.8系からは、下絵はイメージのエンプティのオブジェクトとして管理されるようになりました。

ではここで、Outlinerを見てください

6. "Empty"という名称のオブジェクトが追加されている
6. "Empty"という名称のオブジェクトが追加されている

上図のように "Empty" という名称のオブジェクトが追加されているのがわかります。 このオブジェクトがイメージのエンプティ、つまり、正面図の画像です。

では、追加されたエンプティの名称を "Empty" から "Front" に変更します。 Outlinerのエンプティ "Empty" の名称の部分をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でダブルクリックします名称を変更可能な状態になりますので、キーボードから "Front" と入力してEnterキーを押してください。

7. エンプティの名称を "Front" に変更する
7. エンプティの名称を "Front" に変更する

上図のようにエンプティの名称を "Front" に変更します

では次に、エンプティを拡大します。 現状では小さすぎるため、2.0倍に拡大しましょう

拡大は3D Viewport上でもProperties上でもできますが、今回はPropertiesから拡大してみましょう。 Propertiesのタブをオブジェクトデータのプロパティを編集するためのタブに切り替えます。

8. Object Data Propertiesタブをクリック
8. Object Data Propertiesタブをクリック

上図のようにPropertiesのObject Data Propertiesタブをクリックします。

9. EmptyパネルのSizeを 5m から 10m に変更する
9. EmptyパネルのSizeを 5m から 10m に変更する

上図のようにObject Data Propertiesタブに切り替わりますので、EmptyパネルのSizeを 5m から 10m に変更します

10. 正面図の下絵が2倍に拡大される
10. 正面図の下絵が2倍に拡大される

上図のように正面図の下絵が2倍に拡大されます。


では続いて、側面図の下絵を登録しましょう。 手順は正面図と同じで、まずは視点を側面図に移動します。 キーボードのテンキーの3を押します

11. 視点を側面図の位置へ移動する
11. 視点を側面図の位置へ移動する

上図のように視点を側面図の位置へ移動します。

では、側面図の画像も下絵として登録します。 キーボードのSHIFT+Aを押してください

12. Image -> Backgroundを実行
12. Image -> Backgroundを実行

上図のように"Add"というタイトルのメニューが表示されますので、"Image" -> "Background"を実行します。

Blender File Viewウィンドウが開きますので、用意した側面図の画像を選択して、[Load Background Image]ボタンを押します。

13. 側面図の画像が追加される
13. 側面図の画像が追加される

上図のように側面図の画像が追加されます。

では、エンプティの名称を変更しましょう。

14. エンプティの名称を "Side" に変更する
14. エンプティの名称を "Side" に変更する

上図のようにエンプティの名称を "Side" に変更します

次に、正面図と同じ大きさになるように側面図も2.0倍に拡大します。 今回は3D Viewport上で拡大しましょう。 キーボードのSを押し、続けて、2 -> Enterキーを入力します

15. 側面図の下絵が2倍に拡大される
15. 側面図の下絵が2倍に拡大される

上図のように側面図の下絵が2倍に拡大されます。 なお、2倍には拡大されましたが、PropertiesのEmptyパネルのSizeは 5m のままです

今回のように拡大縮小ツールで拡大した場合は、Sizeの値は変化しません。 正面図のSizeは 10m に変更しましたが、側面図のSizeは 5m のままとなっています。

つまり、正面図と側面図でSizeの値が異なっています。 この記事では色々な拡大方法を説明するために正面図と側面図で異なる拡大方法を実施しました。 実際の作業では、同じ方法で拡大しましょう


続けて、上面図の下絵を登録します。 キーボードのテンキーの7を押して視点を上面図の位置へ移動します

16. 視点を上面図の位置へ移動する
16. 視点を上面図の位置へ移動する

上図のように視点を側面図の位置へ移動します。

では、上面図の画像も下絵として登録しましょう。 キーボードのSHIFT+Aを押します

17. Image -> Backgroundを実行
17. Image -> Backgroundを実行

上図のように"Add"というタイトルのメニューが表示されますので、"Image" -> "Background"を実行します。

Blender File Viewウィンドウが開きますので、用意した上面図の画像を選択して、[Load Background Image]ボタンを押します。

18. 上面図の画像が追加される
18. 上面図の画像が追加される

上図のように上面図の画像が追加されます。

では、このエンプティも名称を変更しましょう。 上面図ですので、"Top" とします。

19. エンプティの名称を "Top" に変更する
19. エンプティの名称を "Top" に変更する

上図のようにエンプティの名称を "Top" に変更します

上面図も2倍に拡大します。 キーボードのSを押し、続けて、2 -> Enterキーを入力します。

20. 上面図の下絵が2倍に拡大される
20. 上面図の下絵が2倍に拡大される

上図のように上面図の下絵が2倍に拡大されます。

これで、下絵の準備は3枚とも完了しました。 正面図、側面図、上面図ともに下絵が表示されるようになりましたので、下絵を見ながらモデリングすることができます。


次に、登録した3枚の下絵を新たなコレクション "Background Images" でまとめます。

21. コレクションにまとめる
21. コレクションにまとめる

上図のように新たなコレクション "Background Images" を作成し、下絵用の3つのエンプティを格納します。 コレクションにまとめたのは、下絵の表示/非表示を連動させるためです。


ではここで視点を移動させてみましょう。 キーボードのテンキーの4を押してください

22. 上面図の下絵が消える
22. 上面図の下絵が消える

上図のように視点が15度旋回(回り込み)し、上面図の下絵が消えました。

  
Blender 4.X系では、視点を動かしても投影方法が平行投影のままになります(透視投影に戻りません)。 そのため、下絵が消えることはありません。

下絵が表示されなくなったのは、投影方法が透視投影(Perspective)になったためです。 標準設定では、下絵が表示されるのは平行投影(Orthographic)の時だけです。

  
Blender 2.8系からは、正面図・側面図・上面図の位置から視点を旋回させると勝手に透視投影に切り替わってしまいます。
  
Blender 4.X系からは、正面図・側面図・上面図の位置から視点を旋回させても平行投影のままになります。 Blender 2.7系までの振る舞いに戻りました。

では、投影方法を平行投影に戻しましょう。 キーボードのテンキーの5を押します

23. 上面図の下絵が表示される
23. 上面図の下絵が表示される

上図のように上面図の下絵が表示されます。 平行投影に戻したため、再び下絵が表示されました。

なお、設定を変えることで透視投影でも下絵を表示させることはできます。 その方法をここで説明しておきます。

では、キーボードのテンキーの5を押して投影方法を透視投影に切り替えてください

24. 上面図の下絵が消える
24. 上面図の下絵が消える

上図のように透視投影に切り替わったことで、下絵は表示されなくなりました。

では、透視投影のままで下絵を表示させてみましょう。 上面図の下絵のエンプティ("Top")を選択し、Propertiesのタブをオブジェクトデータのプロパティを編集するためのタブに切り替えます。

25. Object Data Propertiesタブをクリック
25. Object Data Propertiesタブをクリック

上図のようにPropertiesのObject Data Propertiesタブをクリックします。

26. EmptyパネルのShow In Perspectiveチェックボックスをオンにする
26. EmptyパネルのShow In Perspectiveチェックボックスをオンにする

上図のようにObject Data Propertiesタブに切り替わりますので、EmptyパネルのShow In Perspectiveチェックボックスをオンにします

27. 上面図の下絵が表示される
27. 上面図の下絵が表示される

上図のように上面図の下絵が表示されます。 このように、EmptyパネルのShow In Perspectiveチェックボックスをオンにすることで、透視投影でも下絵を表示されることができます

  
透視投影では近くのものが大きく遠くのものが小さく表示されるため、下絵を表示してのモデリングには向きません。 Show In Perspectiveチェックボックスはオフのままにしておくことをおすすめします。

次に、下絵が常にメッシュよりも背後に表示されることを説明しておきます。 キーボードのテンキーの7を押して視点を上面図の位置へ移動してください。

28. 視点を上面図の位置へ移動する
28. 視点を上面図の位置へ移動する

上図のように視点を上面図の位置へ移動します。

では続いて、立方体のメッシュを犬の尻尾側へ移動します

29. 立方体のメッシュを犬の尻尾側へ移動する
29. 立方体のメッシュを犬の尻尾側へ移動する

上図のように立方体のメッシュを犬の尻尾側へ移動します。 これはつまり、立方体のメッシュは、3Dカーソルの位置にある下絵の画像よりも後ろに位置している、ということです

ではこの状態で視点を正面図の位置へ移動してみましょう。 キーボードのテンキーの1を押します。

30. 視点を正面図の位置へ移動する
30. 視点を正面図の位置へ移動する

上図のように視点を正面図の位置へ移動します。 見ての通り、奥に位置している立方体のメッシュが、手前の下絵よりも前面に描かれています。 このように、下絵はメッシュよりも背面に描かれます

  
イメージのエンプティの追加時に、"Image" -> "Background" を実行したため背面に描かれています。 "Image" -> "Reference" だと近いものが手前に、遠いものが奥に描かれます。

最後に、下絵をまとめて非表示にしてみましょう。 コレクションにまとめましたので、そのコレクションを非表示にするたけです。

31. コレクション "Background Images" の目のアイコンを閉じる
31. コレクション "Background Images" の目のアイコンを閉じる

上図のようにOutlinerのコレクション "Background Images" の目のアイコンをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックして閉じます。

32. 下絵が非表示になる
32. 下絵が非表示になる

上図のように下絵が非表示になります。

  

まとめ

3D Viewport上に下絵を表示することができます。 下絵は、正面図用、側面図用、上面図用の3枚をできるだけ揃えましょう。

また、下絵の大きさと中心位置は事前に揃えておきましょう。

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