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マテリアルの作成とメッシュへの結びつけ

  

マテリアルの作成の前に

Blenderではメッシュに直接質感を設定するわけではありません。 マテリアルを作成し、作成したマテリアルに質感を設定します。 次に、メッシュとマテリアルを結びつけ、メッシュの面にマテリアルを割り当てます。

なぜそのような仕様になっているかですが、複数のメッシュに同じ質感を設定する場面もあり得るからです。 同じ質感を複数のメッシュで共用することができるよう、Blenderではマテリアルはマテリアルとして作成し、作成したマテリアルをメッシュに結びつけるという仕様になっています

つまり、質感を設定するには最低でも1つのマテリアルが必要になるということです。

  
Blender 2.7系までは1つのメッシュに結びつけられるマテリアルは最大で16個でした。
  
Blenderには、マテリアルを削除するショートカットキーやボタンはありません。 ファイルの保存時に、未使用のマテリアルは保存されないようになっています。 そのため、明示的にマテリアル削除する必要はありません(正確にはOutlinerから削除することができます)。

ファイルを開き直す

ではここで、制作中の3DCGをファイルへ保存し、開き直してください。 キーボードのCTRL + Sでファイルへ保存し、保存したファイルをキーボードのCTRL + Oから読み込みます。

ファイルを開き直すのは、未使用のマテリアルをクリーニングするためです。 未使用のマテリアルは保存されないため、ファイルを開き直すことで、使われていないマテリアルを消すことができます

なお、消したいマテリアルというのは、最初に削除した立方体のメッシュが使っていたマテリアルです。 ここまでファイルを開き直さずに作業してきた場合は、そのマテリアルが残っています。 それを削除するために開き直します。

  
未使用のマテリアルがクリーニングされるのは、ファイルを開き直す、という条件だけではないようです。 エディットモードでの作業を実施していないドキュメント(Blenderファイル)では、マテリアルはクリーニングされません。

マテリアルの設定方針を決定する

マテリアル関連の作業を始める前に、犬の置物にどのような質感を設定するかを決定します。

メッシュ 割り当てる面 質感 マテリアル名称
体のメッシュ 鼻以外の面 光沢なしの茶色 Body
体のメッシュ 光沢ありの黒色 NoseAndEyes
目のメッシュ 全ての面 光沢ありの黒色 NoseAndEyes

体のメッシュの鼻以外の面には、光沢のない茶色のマテリアル "Body" を割り当てます。 同メッシュの鼻の面には、光沢のある黒色のマテリアル "NoseAndEyes" を割り当てます。

目のメッシュにも、光沢のある黒色のマテリアル "NoseAndEyes" を割り当てます。 つまり、体のメッシュの鼻の面と目のメッシュでマテリアルを共有します

  
体のメッシュの鼻以外の面には、後ほどテクスチャ画像を貼り付けて模様をつけます。 そのため、その時点で茶色という色は意味がなくなります。

犬の置物の現在の状態

現在の犬の置物の状態ですが、体のメッシュ、目のメッシュともにマテリアルは持っていません。 Blenderでは、新規ファイルに用意されている立方体のメッシュはマテリアルを持っています。 つまり、マテリアルが1つ作成されており、それが立方体のメッシュに結びつけられているということです。

一方、利用者が作成したメッシュはマテリアルは持ちません。 利用者が作成しなければマテリアルは作られません。

マテリアルの作成とメッシュへの結びつけ

では、マテリアル関連の作業を始めます。 まずは、マテリアル "Body" と "NoseAndEyes" を作成し、体のメッシュに結びつけます。

次に、目のメッシュと作成済みのマテリアル "NoseAndEyes" を結びつけます。

なお、この記事ではマテリアルは作成を行うのみで質感の設定は行いません。 そのためマテリアルは初期設定の質感のままです。

マテリアル "Body" と "NoseAndEyes" を作成し体のメッシュに結びつける

マテリアル "Body" と "NoseAndEyes" を作成し、体のメッシュに結びつけます。

まずはマテリアル "Body" を作成しましょう。 モードは、オブジェクトモードでもエディットモードでも構いませんが、ここではオブジェクトモードとしています

1. オブジェクトモードで体のメッシュを選択
1. オブジェクトモードで体のメッシュを選択

上図のようにオブジェクトモードで体のメッシュを選択します。

続いて、Propertiesのタブをマテリアルのプロパティを編集するためのタブに切り替えます

2. Material Propertiesタブをクリック
2. Material Propertiesタブをクリック

上図のようにPropertiesのMaterial Propertiesタブをクリックします

3. Material Propertiesタブに切り替わる
3. Material Propertiesタブに切り替わる

上図のようにMaterial Propertiesタブに切り替わり、選択中のメッシュのマテリアルに関する情報が表示されます。 といっても、見ての通り現状ではマテリアルは持っていません

では、作業を進めましょう。 ただし、まだマテリアルは作成しません。 マテリアルを作成する前に、マテリアルスロットを追加しなければならないためです

マテリアルスロットというのは、その名の通りマテリアルを入れる差込口のようなものです。 メッシュにマテリアルスロットを追加し、そのマテリアルスロットにマテリアルをセットする必要があります。 マテリアルスロットが無くては、メッシュとマテリアルを結びつけることはできません。

というわけで、最初に作るのはマテリアルスロットです。

4. マテリアルスロット追加ボタン([+]ボタン)を押す
4. マテリアルスロット追加ボタン([+]ボタン)を押す

上図のようにマテリアルスロット追加ボタン([+]ボタン)を押します。

5. 空のマテリアルスロットが追加される
5. 空のマテリアルスロットが追加される

上図のようにマテリアルスロットの一覧に空のマテリアルスロットが追加されます。 見ての通り、先頭にアイコンはありますが名称は空白です

では、空のマテリアルスロットにマテリアルを追加しましょう。

6. マテリアルの作成ボタン([+ New]ボタン)を押す
6. マテリアルの作成ボタン([+ New]ボタン)を押す

上図のようにマテリアルスロットの一覧の下にあるマテリアルの作成ボタン([+ New]ボタン)を押します。

7. マテリアルが作成されマテリアルスロットにセットされる
7. マテリアルが作成されマテリアルスロットにセットされる

上図のようにマテリアルが作成されマテリアルスロットにセットされます。 また、マテリアルスロットの一覧の下には作成されたマテリアルの設定情報が表示されます。

  
マテリアルスロットに"Material"という文字が描かれていますが、これはマテリアルスロットの名称ではなくマテリアルスロットにセットされているマテリアルの名称です。 マテリアルスロットには名称はありません。

ではここで、作業を取り消します。 マテリアルの作成および、その前のマテリアルスロットの追加を取り消しますので、CTRL + Zを2回押してください

8. マテリアルスロットが追加される前の状態に戻る
8. マテリアルスロットが追加される前の状態に戻る

上図のようにマテリアルスロットが追加される前の状態に戻ります。

今度は、マテリアルスロットは追加せずにマテリアルを作成してみましょう。 マテリアルスロットが存在しない状態でマテリアルを作成すると、一体どうなるでしょうか。

9. マテリアルの作成ボタン([+ New]ボタン)を押す
9. マテリアルの作成ボタン([+ New]ボタン)を押す

上図のようにマテリアルスロットが存在しない状態で、マテリアルの作成ボタン([+ New]ボタン)を押します。

10. マテリアルスロットが自動的に追加されている
10. マテリアルスロットが自動的に追加されている

上図のようにマテリアルが作成されただけでなく、マテリアルスロットが自動的に追加されています。 このように、マテリアルスロットが存在しない状態であれば、マテリアルスロットの追加が自動的に行われます

  
マテリアルスロットが自動的に追加されるのは、マテリアルスロットが存在しない場合だけです。

このまま続けて、2つ目のマテリアルを作成しましょう。 マテリアルの名称は、後ほど変更することにします

11. マテリアルスロット追加ボタン([+]ボタン)を押す
11. マテリアルスロット追加ボタン([+]ボタン)を押す

上図のようにマテリアルスロットの一覧の右にあるマテリアルスロット追加ボタン([+]ボタン)を押します。

12. 空のマテリアルスロットが追加される
12. 空のマテリアルスロットが追加される

上図のようにマテリアルスロットの一覧に空のマテリアルスロットが追加されます。

では、先ほどと同じように新たなマテリアルを作成し、それを空のマテリアルスロットにセットしましょう。

13. マテリアルの作成ボタン([+ New]ボタン)を押す
13. マテリアルの作成ボタン([+ New]ボタン)を押す

上図のようにマテリアルスロットの一覧の下にあるマテリアルの作成ボタン([+ New]ボタン)を押します。

14. マテリアルが作成されマテリアルスロットにセットされる
14. マテリアルが作成されマテリアルスロットにセットされる

上図のように2つ目のマテリアルが作成され、マテリアルスロットにセットされます。 これで2つ目のマテリアルを作成することができました

では、作成したマテリアルの名称を、"Body" と "NoseAndEyes" に変更しましょう

15. マテリアルスロットをダブルクリックする
15. マテリアルスロットをダブルクリックする

上図のようにマテリアルスロットの一覧のマテリアルスロットをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でダブルクリックします

16. 名称を変更可能な状態になる
16. 名称を変更可能な状態になる

上図のように名称を変更可能な状態になりますので、"Body" と入力してEnterキーを押してください。

17. マテリアルの名称が "Body" に変更される
17. マテリアルの名称が "Body" に変更される

上図のようにマテリアルの名称が "Body" に変更されます。 なお、マテリアルの名称は、名称入力欄でも変更することができます。

18. マテリアルの名称入力欄
18. マテリアルの名称入力欄

上図のように名称入力欄はマテリアルスロットの一覧の下にあります。 ここでも名称を変更することもできます

同じように、2つ目のマテリアルの名称を "NoseAndEyes" に変更します。

19. マテリアルの名称を"Body"と"NoseAndEyes"に変更する
19. マテリアルの名称を"Body"と"NoseAndEyes"に変更する

上図のようにマテリアルの名称を、"Body" と "NoseAndEyes" に変更しましょう。

目のメッシュにマテリアル "NoseAndEyes" を結びつける

続いては、既存のマテリアル "NoseAndEyes" を目のメッシュに結びつける作業です。 引き続き、オブジェクトモードで作業を行います。

1. オブジェクトモードで目のメッシュを選択
1. オブジェクトモードで目のメッシュを選択

上図のようにオブジェクトモードで目のメッシュを選択します。

まずは、マテリアルスロットを追加しなくてはなりません。

2. マテリアルスロット追加ボタン([+]ボタン)を押す
2. マテリアルスロット追加ボタン([+]ボタン)を押す

上図のようにマテリアルスロットの一覧の右にあるマテリアルスロット追加ボタン([+]ボタン)を押します。

3. 空のマテリアルスロットが追加される
3. 空のマテリアルスロットが追加される

上図のようにマテリアルスロットの一覧に空のマテリアルスロットが追加されます。

では、空のマテリアルスロットにマテリアルをセットしましょう。 作成済みのマテリアル "NoseAndEyes" をセットします

4. マテリアル選択リストをクリックする
4. マテリアル選択リストをクリックする

上図のようにマテリアルの作成ボタン([+ New]ボタン)の前にあるマテリアル選択リストをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

5. マテリアルの一覧から"NoseAndEyes"を選択する
5. マテリアルの一覧から"NoseAndEyes"を選択する

上図のようにマテリアルの一覧が表示されますので、"NoseAndEyes"を選択します。

  
マテリアル選択リストの一覧には、Blenderファイル内に存在する全てのマテリアルが表示されます。
6. 選択したマテリアルがマテリアルスロットにセットされる
6. 選択したマテリアルがマテリアルスロットにセットされる

上図のように選択したマテリアル "NoseAndEyes" がマテリアルスロットにセットされます。

"NoseAndEyes" は体のメッシュを選択していた時に作成したマテリアルですが、他のメッシュでも利用することができます。 このように、マテリアルはBlenderファイル内で共有することができます。

現状どうなっているのか

マテリアル関連の作業は理解しづらいため、現在の状態がどうなっているのかを説明しておきます。 マテリアルは "Body" と "NoseAndEyes" の2つが作成されています。

1. マテリアル選択リストの一覧
1. マテリアル選択リストの一覧

上図のようにマテリアル選択リストを押すと表示される一覧に "Body" と "NoseAndEyes" が表示されていることから確認することができます

なお、どちらのマテリアルも作成のみで設定の変更は行っていませんので、初期値の質感のままとなっています。

次に、メッシュとマテリアルの結びつけですが、体のメッシュには "Body" と "NoseAndEyes" が結びついています。

2. 体のメッシュを選択した状態のマテリアルスロットの一覧
2. 体のメッシュを選択した状態のマテリアルスロットの一覧

上図のように体のメッシュを選択した状態のマテリアルスロットの一覧に "Body" と "NoseAndEyes" の2行が表示されていることから確認することができます。

同様に、目のメッシュには "NoseAndEyes" が結びついています。 これも、マテリアルスロットの一覧で確認することができます。

3. 目のメッシュを選択した状態のマテリアルスロットの一覧
3. 目のメッシュを選択した状態のマテリアルスロットの一覧

上図のように目のメッシュを選択した状態のマテリアルスロットの一覧に "NoseAndEyes" の1行が表示されていることから確認できます。

続いて、マテリアルのメッシュの面への割り当て状況についてです。 実は、どちらのマテリアルも、すでにメッシュの面に割り当てられています。 これは、メッシュに最初に結びつけられたマテリアルは、自動的に全ての面に割り当てられてしまうためです

そのような仕様になっているため、体のメッシュでは全ての面にマテリアル "Body" が割り当てられています。 同じように、目のメッシュでは全ての面にマテリアル "NoseAndEyes" が割り当てられています。

マテリアルのメッシュの面への割り当て状況の確認方法については、次の記事で解説します。

  

未使用のマテリアルとフェイクユーザについて

説明したように、Blenderでは未使用のマテリアルは消えてしまいます。 ファイルの保存時に、未使用のマテリアルは保存されないようになっているためです。

Blenderには、それを防ぐための『フェイクユーザ』という仕組みがあります。 その名の通り、偽の利用者を作り使用中にしてしまう機能です

未使用のマテリアルとフェイクユーザについては、後ほど、知っておきたい機能 > ファイルとデータ管理 > 未使用データブロックとフェイクユーザで説明します。

  

まとめ

Blenderでは、マテリアルはメッシュに結びつけられるものとして管理されます。 つまり、メッシュが質感を左右する設定項目を持つわけではなく、マテリアルを作成し、作成したマテリアルに質感を設定し、それをメッシュに結びつけるという手順になります。

なお、マテリアルを直接メッシュに結びつけるのではなく、メッシュにマテリアルスロットを追加し、そこにマテリアルをセットします。 マテリアルスロットが無くては、メッシュとマテリアルを結びつけることはできません。

Blenderには、マテリアルを削除するショートカットキーやボタンはありません。 Blenderでは、ファイルの保存時に未使用のマテリアルは、保存されない仕様になっています。

新規ファイルに用意されている立方体のメッシュはマテリアルを持っていますが、利用者が作成したメッシュはマテリアルは持ちません。 利用者が作成しなければマテリアルは作られません。

 
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