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インバースキネマティクス(IK)で骨格を簡単に動かす(その2)

  

インバースキネマティクス(IK)で関節を末端から曲げる(続き)

前の記事の『インバースキネマティクス(IK)で骨格を簡単に動かす』からの続きです。 引き続き、インバースキネマティクスの使用例を紹介します。

インバースキネマティクスを使ってみよう(続き)

膝が少し前に出ていることを確認したら、次はいよいよ制御用ボーンの追加です。 まずは、足・下腿・大腿を制御するための『足制御用ボーン』から作成しましょう。

足制御用ボーンは下腿のボーンの先端、つまり『かかと』から押し出して作成します

11. 下腿のボーンの先端を選択する
11. 下腿のボーンの先端を選択する

上図のように下腿のボーンの先端を選択します。

では、押し出しで新たなボーンを作成しましょう。 キーボードのEを押します

12. 新たなボーンを押し出す
12. 新たなボーンを押し出す

上図のように新たなボーンを押し出します。 今回はY軸方向に 0.5 押し出しました。 このボーンが足制御用ボーンとなります。

では、足制御用ボーンの設定を変更しましょう。 設定を変更することで、制御用ボーンとしての役割を与えます。 まずは、ボーン全体を選択します。

13. 足制御用ボーンを選択する
13. 足制御用ボーンを選択する

上図のように足制御用ボーンを選択します。 根本だけ / 先端だけではなく、ボーン全体を選択してください

では、足制御用ボーンの設定を変更していきましょう。 まずは名称を "IK-Foot_L" に変更します。

14. 名称を "IK-Foot_L" に変更する
14. 名称を "IK-Foot_L" に変更する

上図のようにPropertiesの(1)のBone Propertiesタブにある(2)の名称入力欄から名称を "IK-Foot_L" に変更します。

  
体の左側のボーンの名称には末尾に "_L" (または "-L" / ".L" ) を付加してください。 付加することで、これが左側用のボーンであるということをBlenderに伝えることができます。 ボーンのミラーの機能などを利用する場合にその方が都合がいいです。
  
右側用のボーンの場合は "_R" / "-R" / ".R" を付加します。

引き続き、足制御用ボーンの設定を変更します。 続いては、親のボーンとの親子関係の解除です

足制御用ボーンは下腿のボーンから押し出しました。 つまり、足制御用ボーンの親は下腿のボーンです。 この親子関係を解除する必要があるのです

親子関係を解除するのは、そうしないと思い通りに制御用ボーンが動かせなくなるからです。 現在設定している足制御用ボーン(子)は、最終的にインバースキネマティクスの『ターゲット』になります。 そして、インバースキネマティクスの『起点のボーン』にするのは下腿のボーン(親)です。 つまり、下腿のボーン(親)が足制御用ボーン(子)を追いかけるように関節が曲がるのです

親子関係を解除しなければ、子のボーンは親のボーンの影響を受けます。 下腿のボーン(親)が曲がると、足制御用ボーン(子)も曲がるのです。

例えば、ポーズをつけるために足制御用ボーン(子)を動かしたとします。 すると、インバースキネマティクスの機能により、下腿のボーン(親)は足制御用ボーン(子)を追いかけるように曲がります。 そして、ここで問題が発生します。 下腿のボーン(親)が曲がると、親子関係により足制御用ボーン(子)も動いてしまうのです。

その結果、足制御用ボーン(子)は、利用者が配置した場所からズレてしまいます。 すると、インバースキネマティクスの機能により下腿のボーン(親)がさらに移動し、その影響で足制御用ボーン(子)がさらに動きます。 そのような影響の循環を防ぐため、親子関係を解除します。

15. 親のボーンとの親子関係の解除
15. 親のボーンとの親子関係の解除

上図のようにRelationsパネルのParentの[X]ボタンをクリックします。

16. 親のボーンとの親子関係が解除される
16. 親のボーンとの親子関係が解除される

上図のように親のボーンが空欄になります。 これは、親子関係が解除されたことを表しています。 これで、足制御用ボーンを思い通りに動かせるようになりました。

足制御用ボーンの設定の変更はまだ続きます。 次に行うのは、『変形』をオフにする作業です。 『変形』とは、文字通りメッシュなどの他のオブジェクトを変形させる機能のことです。

現在設定している足制御用ボーンは、インバースキネマティクスのターゲットとして利用します。 つまり、他のボーンを曲げるために利用するものであり、メッシュを変形させる必要はありません。 足制御用ボーンがクマのメッシュを直接変形させないように『変形』をオフにします。

17. Deformをオフにする
17. Deformをオフにする

上図のようにDeformパネルをオフにします。 これにより、足制御用ボーンがメッシュを変形させることがなくなりました

  
今回のクマのメッシュの例では、実はDeformをオフにしなくても問題ありません。 なぜなら、すでにクマのメッシュとアーマチュアの間にアーマチュア変形の親子関係を構築しているからです。 足制御用ボーンの影響を受ける頂点は1つも存在しないのです。

足制御用ボーンの作業はひとまずこれで終わります。 続いては、膝制御用ボーンの作成です。


では、膝制御用ボーンを作成しましょう。 大腿のボーンの先端、つまり膝を押し出して作成します

18. 大腿のボーンの先端を選択する
18. 大腿のボーンの先端を選択する

上図のように大腿のボーンの先端、つまり膝を選択します。

では、キーボードのEを押して押し出しましょう

19. 新たなボーンを押し出す
19. 新たなボーンを押し出す

上図のように新たなボーンを押し出します。 今回はY軸方向に -0.5 押し出しました。 このボーンを膝制御用ボーンとします。

では、膝制御用ボーンの設定を変更しましょう。 設定する内容は、足制御用ボーンと同様です。 名称の変更、親子関係の解除、変形のオフの3つです。

20. 膝制御用ボーンを選択する
20. 膝制御用ボーンを選択する

上図のように膝制御用ボーンを選択します。 先端や根本ではなく、ボーン全体を選択してください

では、ボーンの名称を変更します。

21. 名称を "IK-Knee_L" に変更する
21. 名称を "IK-Knee_L" に変更する

上図のように名称を "IK-Knee_L" に変更します。

続いて、親子関係の解除と変形をオフにする作業を行います。

22. 親子関係の解除とDeformのオフ
22. 親子関係の解除とDeformのオフ

上図のように親子関係を解除し、Deformパネルをオフにします。

次に、膝制御用ボーンを体から離します。 膝制御用ボーンは、脚を開く(ガニ股) / 閉じる(内股)ために使用します。 体からは離れている方が使い勝手がいいのです。

まずは、膝制御用ボーンを再選択します。 膝制御用ボーンの中央部をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックしてください。

23. 膝制御用ボーンを再選択する
23. 膝制御用ボーンを再選択する

上図のように膝制御用ボーンを再選択します。 なぜ、すでに選択中だったのに再選択したかというと、大腿の先端と下腿の根本の選択を解除するためです

親子関係を解除する前に膝制御用ボーンを選択しました。 その際に、つながっている大腿の先端と下腿の根本も選択状態になっていたのです。 親子関係を解除しても、大腿の先端と下腿の根本の選択状態は自動的には解除されません。 そのためここで再選択が必要になったのです。

では、作業に戻ります。 膝制御用ボーンを体から離します。 膝制御用ボーンを選択していることを確認し、キーボードのG(ジー)を押し、さらにYを押し、続けて、-0.5 -> Enterキーを入力します。

24. 膝制御用ボーンが体から離れます
24. 膝制御用ボーンが体から離れます

上図のように膝制御用ボーンが体から離れます。 これで、膝制御用ボーンの作成作業は終わりです。

次の記事へ

長くなってきましたので、ここで一区切りします。 解説の続きは次の記事を参照ください

  
  

まとめ

インバースキネマティクスではアーマチュア内に制御用ボーンを作成し、それを『ターゲット』として利用します。 制御用ボーンは親との親子関係を解除し、変形もオフにしておくことが大切です。

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