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マテリアルへの質感の設定

  

マテリアルへ質感を設定する

マテリアルの作成とメッシュへの結びつけ、および面への割り当てが完了しました。 この記事では、マテリアルの質感の設定を行います

作成済みのマテリアル "Body" と "NoseAndEyes" に以下のように質感を設定します。

マテリアル名称 質感
Body 光沢なしの茶色
NoseAndEyes 光沢ありの黒色

マテリアルへの質感の設定

まずは、マテリアル "Body" の質感を設定します。 光沢なしの茶色の質感を設定します。

1. オブジェクトモードで体のメッシュを選択する
1. オブジェクトモードで体のメッシュを選択する

上図のようにオブジェクトモードで体のメッシュを選択します。 エディットモードでも作業できるのですが、オブジェクトモードの方が3D Viewport上でのプレビューが見やすいためオブジェクトモードで実施しています。

次に、3D Viewportのヘッダの透過ボタンをオフに戻しておきます。 これも、3D Viewport上での見やすさのためです。

2. 透過ボタンをオフにする
2. 透過ボタンをオフにする

上図のように3D Viewportのヘッダの透過ボタンをオフにします。

続いて、3D Viewport内のシェーディング(陰影計算)の設定を変更します。 マテリアルの設定を3D Viewport上でプレビューできるようにするためです

3. シェーディングをマテリアルプレビューモードに切り替える
3. シェーディングをマテリアルプレビューモードに切り替える

上図のように3D Viewportのシェーディングをマテリアルプレビューモードに切り替えます。 この設定により、3D Viewportでの表示にマテリアル設定が反映されるようになりました。

では、マテリアル "Body" に質感を設定します。 まずは、対象のマテリアルを選択する必要があります

4. マテリアルスロットの一覧から "Body" を選択する
4. マテリアルスロットの一覧から "Body" を選択する

上図のようにマテリアルスロットの一覧から "Body" を選択します。

これで、マテリアルへ質感を設定する準備ができました。 ただし、質感を設定する前に、Propertiesに並んでいるマテリアル関連の項目について説明しておきます。 項目が多いので、重要なものに絞って説明します。

5. Previewパネル
5. Previewパネル

上図のようにマテリアル選択リストの下には、Previewパネルがあります。 Previewパネルはマテリアルの設定をプレビューするためのものですが、初期状態では折りたたまれています

では、パネルを展開してみましょう。

6. Previewパネルの表示切り替えボタンをクリックする
6. Previewパネルの表示切り替えボタンをクリックする

上図のようにPreviewパネルの表示切り替えボタンをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

7. Previewパネルが展開される
7. Previewパネルが展開される

上図のようにPreviewパネルが展開され、マテリアルのプレビューが表示されます。 マテリアルへの質感を設定すると、リアルタイムでこのプレビューに反映されます

  
プレビューが表示されない場合は、パネルを開き直してみてください。
  
初期状態では球体が表示されていますが、右に並んでいるボタンでモデルの形状を切り替えることができます。

なお、3D Viewportのシェーディングをマテリアルプレビューモードに切り替えましたので、このパネルでのプレビューは今回は不要ですこのパネルは折りたたんでおきましょう

8. Previewパネルを折りたたむ
8. Previewパネルを折りたたむ

上図のようにPreviewパネルを折りたたみます。

引き続きPropertiesのマテリアル関連の項目について説明しますが、ウィンドウサイズが小さい場合はスクロールしなければ見えません

9. スクロールして隠れている項目を表示する
9. スクロールして隠れている項目を表示する

上図のようにスクロールバーでスクロールし、隠れている項目を表示させましょう。 なお、Properties上でマウスのホイール(マウスのホイール)を回転させることでもスクロールすることができます。

10. Surfaceパネル
10. Surfaceパネル

上図のようにPreviewパネルの下にはSurfaceパネルがあります。 このSurfaceパネルには、メッシュの面の質感を設定するための項目が並んでいます

  
この記事で実施する質感の設定は、このSurfaceパネル上で作業を行います。 ただし、まだ作業は行いません。 今は、次のパネルの説明へ進みます。
11. Volumeパネル
11. Volumeパネル

上図のようにSurfaceパネルの下にはVolumeパネルがあります。 Volumeパネルには、メッシュの内部の質感を設定するための項目があります

  
メッシュの内部の質感は、面で表現できないものを扱う場合に必要になります。 例えば、雲や煙・炎・霧のようなものが面で扱えない物体の代表です。

今回は犬の置物を描きますのでサーフェイス(面)の質感だけ設定すればよく、ボリュームの質感は設定しません

12. Settingsパネル
12. Settingsパネル

上図のようにVolumeパネルの下にはSettingsパネルがあります。 Settingsパネルでは、質感に関するその他の設定を行います

13. Line Artパネル
13. Line Artパネル

上図のようにSettingsパネルの下にはLine Artパネルがあります。 Line Artパネルでは、ラインアートに関する設定を行います

ラインアートとは、メッシュの輪郭線を描く機能です。

14. Viewport Displayパネル
14. Viewport Displayパネル

上図のようにLine Artパネルの下にはViewport Displayパネルがあります。 Viewport Displayパネルは、3D Viewport上でのマテリアルの表示に関する設定を行います。

あくまでも3D Viewport上での表示であり、最終的な画像には影響を与えません

15. Custom Propertiesパネル
15. Custom Propertiesパネル

上図のようにViewport Displayパネルの下にはCustom Propertiesパネルがあります。 このパネルでは、カスタムプロパティの追加・変更・削除を行うことが出来ます。

カスタムプロパティとは、文字通り利用者が独自に定義することができるプロパティです

  
カスタムプロパティは、プログラミング言語であるPythonを用いてスクリプト(独自の機能)を自作する場合などに利用することができます。

以上が各パネルの紹介でした。 まとめると以下のようになります。

パネル 内容
Preview マテリアルのプレビュー表示
Surface メッシュのサーフェイス(面)の質感に関する設定
Volume メッシュのボリューム(内部)の質感に関する設定
Settings 質感に関するその他の設定
Line Art ラインアートに関する設定
Viewport Display 3D Viewport上での表示設定
Custom Properties カスタムプロパティの追加・変更・削除

では次に、Surfaceパネルについてもう少し詳しく説明します

16. Surfaceパネルの詳細
16. Surfaceパネルの詳細

上図のようにSurfaceパネルの項目は大まかに3つに分類することができます。


(1)の[Use Nodes]はボタンであり、押すたびにシェーダノードの利用のオン/オフが切り替わります。 現状ではボタンが青色で描かれていますが、これは現在オンになっていることを表しています

シェーダノードについては後ほど、知っておきたい機能 > ノードとノードネットワーク > ノードとノードネットワークとはで説明しますので、今ここで知る必要はありません。 大切なのは、このボタンを今はオンのままにしておくことです


(2)のSurfaceは、サーフェイスシェーダの選択リストです。 サーフェイスシェーダとは、サーフェイス(面)用のシェーダであり、シェーダとは陰影計算機能のことです。 わかりやすく言えば、面の陰影計算をどうするのかを選択するためのリストです

表現したい質感に合わせて最適なシェーダを選択する必要があります。 現状では、Principled BSDFという名称のシェーダが選択されています。 Principled BSDFシェーダは、幅広い質感を表現することができる万能シェーダです。


(3)の項目群はシェーダへの入力値とプロパティ値です。 これらの項目群は、シェーダが陰影計算を行うための材料となります。 色や、表面の滑らかさ、光の反射の強さなどを設定します。


では、実際に質感を設定します。 現在選択中のマテリアル "Body" には、光沢なしの茶色を設定します。 光沢の設定は置いておき、まずは基本色に茶色を設定しましょう。 基本色は、Base Colorで設定します。

17. Base Colorのカラーフィールド(色の部分)をクリック
17. Base Colorのカラーフィールド(色の部分)をクリック

上図のようにSurfaceパネルのBase Colorのカラーフィールド(色の部分)をクリックします

18. カラーピッカー
18. カラーピッカー

上図のように色を指定するためのカラーピッカーが表示されます。 なお、カラーピッカーは、ポップアップメニューやポップアップメッセージと同じでマウスを離しすぎると消えてしまいます

カラーピッカーでは様々な方法で色を指定することができますが、今回は上部のカラーフィールドで色相と彩度をカラースライダで明度を指定します。

  
色相は色合い、彩度は鮮やかさ、明度は明るさのことです。
19. カラーフィールドの茶色をクリック
19. カラーフィールドの茶色をクリック

上図のようにカラーフィールドの茶色(時計の7時ぐらい)をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。 円の中心に近づくほど色が薄くなる(彩度が低くなる)ので、色の濃い円周付近をクリックしましょう

では続いて、明度を指定します。

20. カラースライダの中間付近をクリック
20. カラースライダの中間付近をクリック

上図のようにカラースライダの中間付近をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

21. 3D Viewport上の表示にも反映される
21. 3D Viewport上の表示にも反映される

上図のように3D Viewport上での表示にマテリアル設定が反映されています。 茶色になっていることがわかります

  
3D Viewportのシェーディングをマテリアルプレビューモードに切り替えたことで、このように3D Viewport上でマテリアルの設定をプレビューすることができるようになりました。

続いて、光沢をなくすための設定を行います。 現状では、見ての通り陶器のような光沢があり、とても木製の犬の置物には見えません

22. Specularを 0 に
22. Specularを 0 に

上図のようにSurfaceパネルのSpecularを 0 にします。

23. 光沢がなくなる
23. 光沢がなくなる

上図のように光沢がなくなります。 陶器のような質感からぬいぐるみのような質感になりました。

光沢がなくなったのは、もちろんSpecularを 0 にしたためです。 Specularは鏡面反射の強さのことであり、この項目でハイライトの強さを調整することができます。 Specularの値を高くすると磨かれた金属やプラスチックのように強い光を反射し、低くすると布やゴムのようにぼやけた弱い光を反射します。

これでマテリアル "Body" に光沢なしの茶色を設定することができました。 続いては、マテリアル "NoseAndEyes" に光沢ありの黒色を設定します

24. マテリアルスロットの一覧から "NoseAndEyes" を選択する
24. マテリアルスロットの一覧から "NoseAndEyes" を選択する

上図のようにマテリアルスロットの一覧から "NoseAndEyes" を選択します。

では、基本色に黒色を設定しましょう

25. Base Colorを黒色に
25. Base Colorを黒色に

上図のようにBase Colorに黒色を指定します。 カラーピッカーで、カラースライダを一番下までスライドするのが簡単でいいでしょう

次に光沢を強くします

26. Roughnessを 0.1 に
26. Roughnessを 0.1 に

上図のようにSurfaceパネルのRoughnessを 0.1 にします。

27. 鼻と目に光沢が入る
27. 鼻と目に光沢が入る

上図のように鼻と目に光沢が入ります。 Roughnessは表面の粗さのことであり、値を高くすると光の反射が拡散され、低くすると光の反射が集中します。 つまり、Roughnessもハイライトの調整に使うことができます

側面図では見づらいので、視点を動かしてアップにしてみましょう。

28. 鼻と目に光沢が入る
28. 鼻と目に光沢が入る

上図のように鼻と目に光沢が入っているのがわかります。

現状どうなっているのか

予定通り、体のメッシュの鼻以外の面は光沢のない茶色に、鼻の面と目の全ての面は光沢のある黒色に設定することができました。 これで、マテリアルの設定に関する作業はひとまず完了です。

次の記事からは、テクスチャの貼り付け作業に進みます。 テクスチャを貼り付けるためにはマテリアルの設定も変更するため『ひとまず』の完了というわけです。

カラーピッカーでの色の指定方法について

カラーピッカーでは、様々な方法で色を指定することができます。 まず1つ目は、この記事でも利用したカラーフィールドとカラースライダで指定する方法です。

カラーフィールドとカラースライダでの色の指定方法
カラーフィールドとカラースライダでの色の指定方法

カラーフィールドで色相(色合い)と彩度(鮮やかさ)を選び、カラースライダで明度を調整します。 カラーフィールドでは円の中心に近づくほど彩度が低く、離れるほど彩度が高くなります。


2つ目は、赤成分・緑成分・青成分のそれぞれの強さを指定する方法です。

RGBでの色の指定方法
RGBでの色の指定方法

カラーフィールドの下の[RGB]ボタンを選択し、R、G、Bの入力欄にそれぞれ赤成分・緑成分・青成分の強さを指定します。

入力欄をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックすればキーボードから入力することができ、マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)で左右にドラッグすれば数値を増減させることができます。

  
入力欄には、0.0 から 1.0 の数値を入力することができます。 なお、キーボードから入力する場合は範囲外の数値も指定することができます。
  1. Rは赤成分
  2. Gは緑成分
  3. Bは青成分
  4. Aは不透明度
  5. RGBAともにスライダまたはキーボード入力する
  6. RGBAともに 0 から 1.0 の範囲で指定する
  7. RGBAともにキーボードから入力する場合は範囲外の数値を指定できる

3つ目は、色相(色合い)・彩度(鮮やかさ)・明度(明るさ)のそれぞれの強さを指定する方法です。

HSVでの色の指定方法
HSVでの色の指定方法

カラーフィールドの下の[HSV]ボタンを選択し、H、S、Vの入力欄にそれぞれ色相(色合い)・彩度(鮮やかさ)・明度(明るさ)の強さを指定します。 入力方法はRGBでの色の指定方法と同じです

  1. Hは色相(色合い)
  2. Sは彩度(鮮やかさ)
  3. Vは明度(明るさ)
  4. Aは不透明度
  5. HSVAともにスライダまたはキーボード入力する
  6. HSVAともに 0 から 1.0 の範囲で指定する
  7. VとAはキーボードから入力する場合は範囲外の数値を指定できる

4つ目は、赤成分・緑成分・青成分のそれぞれの強さを16進数のカラーコードで指定する方法です。

16進数のカラーコードでの色の指定方法
16進数のカラーコードでの色の指定方法

カラーフィールドの下の[Hex]ボタンを選択し、Hexの入力欄に16進数のカラーコードを指定します。 赤成分・緑成分・青成分をそれぞれ2桁の16進数で表現するため、"0480e8" のように全部で6桁になります。 "0480e8" の場合は、赤成分・緑成分・青成分のそれぞれの強度は以下になります。

成分 強度(16進数)
赤成分 04
緑成分 80
青成分 e8

16進数であるため、下から2桁目は16の位となります。 よって、10進数との対応は以下のようになります。

16進数 10進数
00 0
01 1
02 2
03 3
04 4
05 5
06 6
07 7
08 8
09 9
0a 10
0b 11
0c 12
0d 13
0e 14
0f 15
10 16
11 17
.
.
.
省略
.
.
.
f0 240
f1 241
f2 242
f3 243
f4 244
f5 245
f6 246
f7 247
f8 248
f9 249
fa 250
fb 251
fc 252
fd 253
fe 254
ff 255
  

3D Viewportのシェーディングについて

この記事では、3D Viewportのシェーディングをマテリアルプレビューモードに切り替えました。 3D Viewportのシェーディングには、それ以外にもいくつかの種類があります。

シェーディング関連の項目群
シェーディング関連の項目群

上図のように3D Viewportのヘッダに、シェーディング関連の項目群があります。 これらの項目群で、いつでも自由にシェーディング方法を切り替えることができます。 それぞれのシェーディング方法の特徴は以下の通りです。

描画方法 解説
Wireframe(ワイヤフレーム)
Wireframe
(ワイヤフレーム)
辺のみで描画される(面は描画されないため奥が透ける)
Solid(ソリッド)
Solid
(ソリッド)
天空からの光による陰影を付けて描画される
(光源は無視され、天空から光で照らされていると仮定して計算される)
Material Preview(マテリアルプレビュー)
Material Preview
(マテリアルプレビュー)
Solid(ソリッド)に加えてマテリアルが適用されて描画される
Rendered(レンダード)
Rendered
(レンダード)
レンダリングのプレビューで描画される
  

まとめ

3D Viewportではシェーディングを切り替えることができます。 シェーディングをマテリアルプレビューモードに切り替えることで、3D Viewportでの表示にマテリアル設定が反映されるようになります。

マテリアルの設定は大きく分けて、サーフェイス(面)の質感・ボリューム(内部)の質感・質感のその他の設定、の3つに分けることができます。 ボリューム(内部)の質感は煙などの面では表せない物体を表現するのに便利です。

レンダリング時に陰影計算を行う機能をシェーダと呼びます。 サーフェイス(面)の陰影計算はサーフェイスシェーダが、ボリュームの陰影計算はボリュームシェーダが担います。

質感は、シェーダへ受け渡す入力項目やプロパティ項目として設定します。 例えばBase Colorはその物体の色を表し、Specularは鏡面反射の強さを表し、Roughnessは表面の粗さを表します。

項目 説明
Base Color 物体の色
Specular 鏡面反射の強さ
Roughness 表面の粗さ
 
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