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フレームバイフレームアニメーション(パラパラ漫画)

  

フレームバイフレームによるグリースペンシルの2Dアニメーション

前の記事では、アーマチュアによる本格的な仕組みの2Dアニメーションを解説しました。 この記事では、パラパラ漫画のように1フレームごとに絵を用意する2Dアニメーションを紹介します。 ペンタブレットなどペン入力できるデバイスがあるなら試してみたいアニメーション方法です。

制作するアニメーション

制作例 -グリースペンシルでのフレームバイフレームによる2Dアニメーション -

元気のない倒れかけの花が元気を取り戻します。

作業の概要

『オニオンスキン』と呼ばれる "前後の有効フレームの絵が透けて見える機能" と『自動キーフレーム登録』の機能を有効にします。 後は、グリースペンシルを使って1フレーム1フレーム花を描いていきます。

自動キーフレーム登録の機能を有効にするため、対象フレームを切り替えると自動的にキーフレームが登録されます。 手作業でキーフレームを登録する必要はありません

アニメーションをつける

では、パラパラ漫画風の2Dアニメーションの制作を行いましょう。 いつものように、Generalの新規ファイルから作業を始めます。 トップバーのプルダウンメニューの"File" -> "New" -> "General" を実行してください。

グリースペンシルで絵を描ける状態にする

まずは、カラーマネジメントの設定を変更します。 レンダリング結果が暗くなってしまうのを防ぐためです。

1. Render Propertiesタブをクリック
1. Render Propertiesタブをクリック

上図のようにPropertiesのRender Propertiesタブをクリックします

2. Color ManagementパネルのView TransformをStandardに切り替える
2. Color ManagementパネルのView TransformをStandardに切り替える

上図のようにColor ManagementパネルのView TransformをStandardに変更してください


続いて、レンダリング時の背景色と3D Viewportの背景色を両方とも白色に変更します。

3. World Propertiesタブをクリック
3. World Propertiesタブをクリック

上図のようにPropertiesのWorld Propertiesタブをクリックします

4. SurfaceのColorとViewport DisplayのColorを完全不透明の白色に変更する
4. SurfaceのColorとViewport DisplayのColorを完全不透明の白色に変更する

上図のようにSurfaceパネルのColorとViewport DisplayパネルのColorをどちらとも白色に変更しましょう

  
SurfaceパネルのColorの白色は完全不透明(A=1.0)に設定してください。

次に、3D Viewport上の陰影計算を変更しましょう。

5. シェーディングをマテリアルプレビューモードに切り替える
5. シェーディングをマテリアルプレビューモードに切り替える

上図のように3D Viewportのシェーディングをマテリアルプレビューモードに切り替えてください

さらに設定が必要です。 3D Viewportのオプションも変更する必要があります。

6. Viewport ShadingのScene Worldをオンにする
6. Viewport ShadingのScene Worldをオンにする

上図のようにViewport ShadingのScene Worldをオンにしましょう。 この変更により、3D Viewportの背景色が白色になります


次に、3D Viewport上の不要なガイド類を非表示にします。 グリッドやX軸・Y軸の軸線、3Dカーソルを非表示にしましょう。

7. Viewport OverlaysのGrid / Axis X / Axis Y / 3D Cursorをオフにする
7. Viewport OverlaysのGrid / Axis X / Axis Y / 3D Cursorをオフにする

上図のようにViewport OverlaysのGrid / Axis X / Axis Y / 3D Cursorをオフにします。 これで、グリッド・X軸・Y軸・3Dカーソルは非表示になります


続いては視点を調整します。 キーボードのテンキーの1を押して視点を正面図の位置へ移動します。

8. 視点が正面図の位置へ移動する
8. 視点が正面図の位置へ移動する

上図のように視点が正面図の位置へ移動します。

続いて、不要な立方体のメッシュとライトを削除します

9. 立方体のメッシュとライトを削除する
9. 立方体のメッシュとライトを削除する

上図のように立方体のメッシュとライトを削除します。


次は必要なオブジェクトの追加です。 グリースペンシルオブジェクトを追加します。 キーボードのSHIFT+Aを押してください

10. Grease Pencil -> Blankを実行
10. Grease Pencil -> Blankを実行

上図のように"Add"というタイトルのメニューが表示されますので、"Grease Pencil" -> "Blank"を実行します。

11. ストロークを持たない空のグリースペンシルオブジェクトが追加される
11. ストロークを持たない空のグリースペンシルオブジェクトが追加される

上図のようにストロークを持たない空のグリースペンシルオブジェクトが追加されます。

  
追加されたグリースペンシルオブジェクトは内部にストロークを持っていないため、オブジェクト中心(オブジェクト中心)しか見えていません。

ここまでの作業により、ドローモードで絵を描ける状態になりました。 ただし、まだ絵は描きません。 その前に、『オニオンスキン』の機能を有効にします

12. Viewport OverlaysのOnion Skinをオンにする
12. Viewport OverlaysのOnion Skinをオンにする

上図のようにViewport OverlaysのOnion Skinをオンにします。 これでオニオンスキンの機能が有効になり、前後の有効フレームの絵が3D Viewport上で透けて見えるようになります

  
 
Blender 4.X系からOnion Skinの設定場所が変わりました。 Viewport Overlaysの右に新設されたGrease Pencilの中にあります。

まだドローモードには切り替えません。 次に、3D Viewportを分割してDope Sheetエディタを増やします。 フレームバイフレームでアニメーションを制作する場合はDope Sheetが必要になります

13. 3D Viewportの左下のエリアコーナにマウスカーソルを乗せる
13. 3D Viewportの左下のエリアコーナにマウスカーソルを乗せる

上図のように3D Viewportの左下の隅にあるエリアコーナにマウスカーソルを乗せます。 マウスカーソルがドラッグカーソル(ドラッグカーソル)に変わります。

  
エリアコーナは、Blender 2.7系までは "ウィンドウアクションエリア" と呼ばれていました。 ウィンドウアクションエリアは各エリアの右上・左下の隅にありましたが、エリアコーナは四隅にあります。 ウィンドウアクションエリアからエリアコーナに名称が変わり、四隅で操作できるようになったというわけです。 なお、操作方法はどちらも同じです。
14. 分割の開始
14. 分割の開始

上図のようにマウスカーソルをエリアコーナに乗せたまま、マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でドラッグしてエリアコーナを上に引き出します。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。

15. 分割の確定
15. 分割の確定

上図のように3D Viewportが2つに分割されます。

では、新たに増えた3D ViewportをDope Sheetに切り替えましょう

16. エディタタイプをDope Sheetに切り替える
16. エディタタイプをDope Sheetに切り替える

上図のように新たに増えた3D Viewportのエディタタイプ選択リストをクリックし、表示される一覧からDope Sheetを選択します

17. Dope Sheetに切り替わる
17. Dope Sheetに切り替わる

上図のようにDope Sheetに切り替わります。 ただし、これだけではグリースペンシルのキーフレームは表示されません。 Dope Sheetの "モード" を切り替える必要があります

  
Blender 4.X系からは、この時点でグリースペンシルのキーフレームは表示されます。 そのため、Dope Sheetの "モード" を切り替える必要はありません(実施しても問題ありません)。
18. Dope SheetのモードをGrease Pencilに切り替える
18. Dope SheetのモードをGrease Pencilに切り替える

上図のようにDope Sheetのモードを "Grease Pencil" に切り替えます。 これで、グリースペンシルのキーフレームが画面上に表示されるようなりました。


では次に、『自動キーフレーム登録』の機能を有効にします。

19. TimelineのAuto Keyingをクリックする
19. TimelineのAuto Keyingをクリックする

上図のようにTimelineのAuto Keyingをクリックします。

20. 自動キーフレーム登録が有効になる
20. 自動キーフレーム登録が有効になる

上図のように自動キーフレーム登録が有効になります。

絵を描く前に必要な作業はこれで終わりです。 では、ドローモードに切り替えましょう。

21. ドローモードに切り替える
21. ドローモードに切り替える

上図のようにドローモードに切り替えます。 これで、いつでも線が引ける状態になりました。

絵を描きながらキーフレームも登録する

では、花の絵を描きながらキーフレームも登録していきましょう。 なお、キーフレームは自動的に登録されますので手作業で登録する必要はありません。 対象フレームを切り替えながら絵を描くだけです。

まずは、ブラシ(ペン先)を変更しましょう。 やや太めの "Ink Pen" に変えます。

1. ヘッダからブラシを切り替える
1. ヘッダからブラシを切り替える

上図のように3D Viewportのヘッダからブラシ選択リストを(1)のようにクリックし、表示される一覧から(2)の "Ink Pen" に切り替えます。

では、絵を描きながらキーフレームを登録していきます。 まずは、1フレーム目です。

2. 対象フレームを 1 にする
2. 対象フレームを 1 にする

上図のように対象フレームを 1 にします。

1フレーム目には、倒れかけの花を描きます。 ドローツールのままでマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のドラッグで描きます。

3. 倒れかけの花を描く
3. 倒れかけの花を描く

上図のように倒れかけの花を描きます。 これで、1フレーム目の作業は終わりです


続いては、6フレーム目の絵を描きます。

4. 対象フレームを 6 にする
4. 対象フレームを 6 にする

上図のように対象フレームを 6 にします。 ではここで、3D Viewportに注目してください。 何か変化は起こっているでしょうか。

5. 3D Viewportに変化はない
5. 3D Viewportに変化はない

上図のように3D Viewportには変化はありません。 オニオンスキンを有効にしたのに、1フレーム目の絵が透けていません。 1フレーム目の絵が透けていない理由は、この6フレーム目に、まだ絵を描いていないからです

では、少しだけ元気になった花の絵を描きましょう。 ただし、まずは茎だけを描いてください

6. 1フレーム目が透けて見える
6. 1フレーム目が透けて見える

上図のように茎を描くと1フレーム目が透けて見えるようになります。 このように、何か描いて初めて前後の有効フレームの絵が透けて見えます。

では、Dope Sheetにも注目してください

7. キーフレームが登録されている
7. キーフレームが登録されている

上図のように6フレーム目のキーフレームが登録されていることがわかります。 自動キーフレーム登録を有効にしているため、新たなストロークを描くと同時にキーフレームが登録されるのです

では絵を描く作業に戻りましょう。 この6フレーム目の続きを描き足します

8. 少しだけ元気になった花を描く
8. 少しだけ元気になった花を描く

上図のように少しだけ元気になった花を描きます。 これで、6フレーム目の作業も完了です


次に、11フレーム目の絵を描きます。 さらに元気になった花を描きます

9. 対象フレームを 11 にする
9. 対象フレームを 11 にする

上図のように対象フレームを 11 にします。 では、さらに元気になった花を描きましょう。

10. さらに元気になった花を描く
10. さらに元気になった花を描く

上図のようにさらに元気になった花を描きます。 11フレーム目の作業はこれで完了です


最後に、16フレーム目の絵を描きます。 完全に元気になった花を描きます

11. 対象フレームを 16 にする
11. 対象フレームを 16 にする

上図のように対象フレームを 16 にします。 これで最後ですので、張り切って描きましょう。

12. 完全に元気になった花を描く
12. 完全に元気になった花を描く

上図のように完全に元気になった花を描きます。 これで、16フレーム目の作業も終わりです。 オブジェクトモードに戻りましょう

13. オブジェクトモードに切り替える
13. オブジェクトモードに切り替える

上図のようにオブジェクトモードに切り替えます。

さらにオブジェクトの選択を解除しておきます。 キーボードのALT+Aを押します

14. 全選択解除される
14. 全選択解除される

上図のように全選択解除されます。

  
オブジェクトの選択を解除したのは見やすくするためです。 スペースキーを押すことで、3D Viewport上でアニメーションをプレビュー再生することができます。 プレビュー再生が見やすくなるようにオブジェクトの選択を解除しました。
  
なお、この記事ではプレビュー再生はしていません。

仕上げとして、終了フレームを設定しておきます。 キーフレームを持っている最後のフレームが 16 ですので、10足して 26 にしましょう。

15. 終了フレームを 26 にする
15. 終了フレームを 26 にする

上図のように終了フレームを 26 にします(対象フレームではなく、終了フレームです)。

では最後に、対象フレームを 1 に戻しておきます。 キーボードのSHIFT+カーソルキーの左()を押します。

16. 対象フレームが 1 に戻る
16. 対象フレームが 1 に戻る

上図のように対象フレームが 1 に戻ります。

  

アニメーション出力

では、アニメーションを出力しましょう。 手順は、知っておきたい機能 > グリースペンシルと2Dアニメーション > 移動・回転・拡大縮小によるアニメーション(その2) - アニメーション出力 -と同様です。

制作例

以下は制作例です。 最初に紹介したものと同じ映像です。

制作例 -グリースペンシルでのフレームバイフレームによる2Dアニメーション -
  

まとめ

オニオンスキンの機能を有効にすることで、前後の有効フレームの絵が透けて見えるようになります。 また、自動キーフレーム登録の機能を有効にすることで、フレームに新たにストロークを引くと自動的にキーフレームが登録されるようになります。

これらの機能のおかげで、対象フレームを切り替えながら絵を描くだけで2Dアニメーションを完成させることができます。 パラパラ漫画風のアニメーションを簡単に制作することができます。

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